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私は4月に本校に異動し、現在5年生を担任している。英語活動の時間は確保されてはいるものの全校的に見て決して活発という訳ではない。しかしながら、英語に対する子どもたちの興味関心は高く、自己評価では、常時90%以上が「楽しかった・よくわかった・積極的に活動できた」と同時に「また英語活動をしたい・英語活動が好きだ」と回答している。
長い夏休みを終え、学校に戻ってくる子どもたちの心身をリフレッシュする意味からも、2学期最初の英語活動を計画する際には、新言語材料の導入はせず、Warm-upとReviewを中心に1時間を構成する予定である。また、以下の2点に十分配慮し、2学期のスタートを切りたいと考えている。
(1) 楽しさへの回帰
小学校英語の目標や役割、さらに指導方法等に対してさまざまな考え方が、小学校現場にはある。私は、「英語嫌いをつくらない」ことを目指し、聞くこと・話すことを中心にした「楽しく身につく英語活動」を目指し実践に繋げてきた。そこで2学期最初の英語活動では、以下の点に気をつけたい。
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1学期の英語活動では、多くの動作つきの歌や手遊び歌などを取り入れてきた。その中から子どもたちのリクエストに応え、順位の高いものからたっぷりと時間をとり、普段より少し長めの『Warm-up』を行いたい。1学期の楽しい英語活動を思い起こさせながら、雰囲気を徐々に盛り上げ、子どもたちのモチベーションを高めていきたい。
- 子どもたちの多くはチーム対抗戦型のアクティビティをたいへん好んでいる。1学期に学習した言語材料の『Review Time』として、「Touch
the base」(カードを使った陣取りゲーム)や「Relay game」(リレー形式で持っているカードを当てていくゲーム)などのアクティビティを取り入れ、定着を確かめることと平行して活性化を図っていきたい。
(2) 英語が使える喜びへの回帰
子どもたちにとって、思いや意志が相手に伝わったときの喜びや充足感が、次の英語活動へのエネルギーとなる。私は、平成13年度よりESL指導方法であるB-SLIM
(詳細は、AEEN【Asahikawa English Education Network】HP参照…URL http://aeen.jp/)
を取り入れ、実践に繋げてきた。B-SLIMでは、スモールステップでアクティビティを積み上げ、子どもたちが無理なく言語材料を身につけていく過程を大切にしている。そこで2学期最初の英語活動では、以下の点に気をつけたい。
- Warm-up ⇒ Input ⇒ Intake ⇒ Outputと進んでいくB-SLIM流れの中で、本時では、Intake段階の「Using
it」(子どもたちが1人で発音したり、会話をしたりする段階)を特に重視して、英語活動を構成したい。1学期の活動よりも難易度を少し上げた「What’s missing?」や「Who am
I?」等のアクティビティを提供することで、楽しい中にもひとりひとりの子どもたちに確かな英語力を育み、活動の充実が期待できる。
- 「Free Pair Activity」で英語活動の最後を締めくくりたい。「Free Pair Activity」は、1学期に学習した言語材料(語い)を描いた「Small
card」を1人3〜5枚ずつ自由に選んで持ち、すでに学習済みの“Do you like …?” “What’s this?” “What
xxx do you like?”等のsentencesと自由に組み合わせて、1ペア20秒〜30秒の会話を楽しむアクティビティである。一方、通常行っている「Pair
Activity」は、定型の会話練習を中心に行っている。
この「Free Pair
Activity」は、子どもたちの「最も英語を使ったと思える活動」のNo.1の座を長く保持している。これは、このアクティビティが、型にはまらず、自分自身の英語力に合わせて自由な内容で相手と会話ができる点で「英語を使うことができた」という子どもたちの実感や充足感に繋がるものと考えている。
この学習が終わったときに、ひとりひとりの子どもたちの口から、「あー楽しかった。」「先生、今度の英語活動はいつ?」という声が上がるのを願いながら、2学期最初の英語活動に臨みたいと思っている。
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小山俊英(こやま としひで)
旭川市立北光小学校教諭。「旭川英語教育ネットワーク」(AEEN)統括コーディネーター。数多くの研修や講座で講師を務める(平成19年度上川教育研修センター「小学校英語活動」講座講師)。平成18年度北海道教育実践表彰(個人表彰)受賞。主な著書─『子どもが生き生きと活動する英語活動』(教育出版、共著)、『これからの小学校英語教育〜理論と実践』(研究社、共著)他。
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