今回は,先日ある研修会の懇親会で隣り合わせたB中学校C先生(新採4年目)との会話から始まった「授業力」について,お話したいと思います。
Now everyone! Let's go to Australia all together. Look at this map. This is Australia. Australia is a big country. This is the Australian continent. Continent is「大陸」in Japanese.
この短い導入にAustralia が3度も出てくるので,どの生徒も,まずAustraliaの単語が頭に入ります。関連してAustralian, continentなどの未習語が出てきてもなんとなくわかってくるので,ここで大陸の話に脱線しても面白いのです。例えば,Australiaはbig countryなのにthe smallest continent in the worldだ,などと言って,オーストラリアから世界地図へ視点を広げさせることができます。この説明のあと,私は生徒とQ & A活動をしました。 T:Do you know anything about Australia?
S1:Yes, I do. I know koala. T:Oh, you know koala. Koalas are very cute. S2:I know kangaroo. S3:Aborigine. S4:Ayers Rock. S5:大陸横断鉄道。 T:Yes. Great Southern Rail. S6:Great barrier reef. このようにして多少日本語も混ざったり,少々わいわいがやがやしたりしますが,対話により生徒の興味・関心も高まっていきます。いろいろな答えがでますが,ここでは文法にはこだわらない方がいいですね。さらに,このあと教科書を開かせ,写真を見せながらAyers Rockについての説明を一通りします。ここでは,Teacher's Manualのオーラルイントロダクションにある例文を参考にして使ってみましょう。 This is a big rock. It is on a large, flat plain in Australia. Many people go there to see it. The rock has two names. One name is from the British: Ayers Rock. Ayers was the name of a British leader. Another name is Uluru. It means 'rock' in the language of Australian native people. Which name do you like?
さらに,次のように生徒にQuestionを投げかけます。 Q1:Where is this rock? そしていよいよ言語材料[SVOO]構文の導入です。コアラやカンガルーのぬいぐるみを使い,先生と生徒とのやりとりに移ります。(コアラとカンガルー以外のぬいぐるみは使いません。ここではあくまでもオーストラリアにこだわります。) こんな具合です。生徒一人S1を前にだして……。 T:I have a little koala in my hand. Now I will give you this koala. と言ってS1にそのコアラを渡します。
次にもう一人生徒S2を前に出して同じパフォーマンスで……。
このSVOO構文を(機械的にはなりますが)まずクラス全員で何度もコーラス,そして列ごとに個々で言わせます。次に予め厚紙を切り抜いて作っておいたコアラとカンガルーを各ペアに配り,それぞれのペアが「TとS1」「TとS2」になってパフォーマンスを伴った文型練習をします。(役割は適宜交代します。)このパターンプラクティス的なパフォーマンスを繰り返してSVOO構文を身に付けておけばPart2に出てくるEmma gave me this present.の文も簡単に理解することができるでしょう。 このあと,時間があればWord Cornerにある語句を使い,いろいろな動作を交えたペア活動やグループ活動ができます。いずれにしても生徒の発話にかける時間をできるだけ多くとって授業を活発化させ,生徒中心の授業を心がけることが大切です。 以上が第一時間目の授業の骨子です。導入部は生徒の英語への関心と意欲を起こさせ,それを持続させるための大切な一時間です。生徒の気持ちが「そうか,これからしばらくはオーストラリアについて勉強するんだな」から「オーストラリアについてもっと勉強したくなった」へ変化し,そしてこの課の終わる頃には「オーストラリアに行ってみたくなった」となれば,授業は軌道に乗ったといえるでしょう。 さて紙面が尽きたようなので,このあとの「展開(activity)」「まとめと振り返り」「自己評価」「宿題と小テスト」については次回に述べたいと思います。 後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より國學院大学で教職課程履修の学生を教えている。 ご質問がございましたらニュークラウン指導相談ダイヤル(03-3230-9235 受付時間 月・火・木曜日 10:00 〜 16:00)へどうぞ。 メールの場合は「問い合わせフォーム」へ |
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