昨年の暮れに東京都K区K中のM先生から「PISA型読解力」とはどういう読解力ですか,また,それを英語の授業で活かすにはどうすればよいですか,という内容のご質問をいただきました。そこで,今月は「PISA型読解力」についてお話しようかと思います。 まず,はじめに「PISA型読解力」の源となっている「PISA調査」とは,経済協力開発機構(OECD)によって実施されている国際的な「生徒の学習到達度調査」のことです。2006年度調査には,57か国・地域から約40万人の子ども(15歳)が参加しました。「PISA型読解力」とは,この「PISA調査」のうち,「読解力」分野で調査される力で,「自らの目標を達成し,自らの知識と可能性を発達させ,効果的に社会に参加するために,書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力」と定義づけられています。さらに,後半部の「書かれたテキストを理解し,利用し,熟考する能力」は,次のように言いかえることができるでしょう。
さて,この「PISA型読解力」をいかに身につけていくかが問題となるわけですが,英語科では,次のような形の力を身につけさせることで実現できるのではないでしょうか。
さらに,実際の英語の授業に落としこむと,これらの力を身につけるための指導として,次のようなことが考えられます。
これらの「観点」をふまえ,教科書の言語材料や題材に応じ,どう料理して授業の流れをつくるかが,我々,英語教師に課せられた命題だと思いますが,こう考えてみますと,従来から我々が実際に取り組んできた英語の授業のあり方と,「PISA型読解力」を取り入れた授業とでは,180度転換した差はないように思えます。これまでの「聞く」「話す」「読む」「書く」という4技能の養成という視点に加え,さらに「考える」「応用する」という視点を意識した授業プロセスを構築してみてはいかがでしょうか。 後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。 ご質問がございましたらニュークラウン指導相談ダイヤル(03-3230-9235 受付時間 月・火・木曜日 10:00 〜 16:00)へどうぞ。 メールの場合は「問い合わせフォーム」へ |
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