フーンコラム 第56回 後関正明

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ICTって何ですか?

 先日ある研修会で隣席のA区Y中T先生と雑談しているときに最近の教育機器についての質問を受けました。以下そのあらましです。

T先生  私は教師歴20年ですが,最近教育機器で耳慣れない用語が目につき,それがよく理解できないのです。
 ほう,例えばどんなことばですか。
T先生  例えば,「ICTの利活用」による授業など,私のようなアナログ人間には本当に厄介な単語です。
 私なんかも,どちらかというとアナログ人間なので教育用語の中にそのようなことばが出てきたりすると,ちょっと戸惑います。しかしながら,日々の授業をよりよくするひとつの手段として教育機器を使うこともできるかと思います。今すぐそれらの教育機器を使うわけでなくても,概要もつかんでおくことは大切だと思います。
T先生  私もそう思います。そこでちょっと質問してみたわけです。
 では,ICTをどのように授業に活用できるかという観点からお話させていただきます。まず,ICTということばは“Information and Communication Technology”のacronym(頭字語)で,「情報通信技術」という訳になりますが,普段は,訳さずに「ICT」ということが多いかと思います。「ICTの利活用」というと何か大げさな感じがしますが,「実物投影機+プロジェクタの使用」だけでも,十分,ICTの利活用に取り組んでいると私は思います。実物投影機をプロジェクタにつなげて,品物や写真,教科書,生徒のノート,問題の解答などをそのまま大きくスクリーン上に映し出すだけです。先生もお使いになられたことと思いますが,以前, OHPというものがありましたね。透明の薄いプラスチックに油性ペンで字や絵をかきそれを拡大して教室の前方にあるスクリーンに映し出した機器です。
T先生  そうそう,OHPは私もよく使いました。今はすたれて…
 そうですね。実物投影機はもっと優れもので,たとえば物体を写すときに上下左右から立体的に写され,生徒にはその物体が手に取るように見えるのです。
T先生  使い方も簡単そうですね。私にも使えそうです。
 ただし,「ICTの利活用」といったときに,普通イメージされるのは,電子黒板(電子情報ボード)などです。電子黒板とは,ボードやディスプレイにコンピュータ画面を映し出し,付属のペンや指で操作を行うことができる装置です。今後は,さらに電子黒板が使われるようになっていくことも想定されます。
 
 電子黒板を使うことで便利になることも多くあります。たとえば,疑問文の説明をするときなど,今までは,単語を書いたカードをマグネットで一枚いちまい黒板に貼り付け,それを移動させたりしながら,文の構造を説明していました。ところが,電子黒板を使えば,説明の仕方は同じことなのですが,あらかじめつくっておいた文の構造のパーツ(単語)を画面上で簡単に動かしながら説明することができます。文の構造を説明したあとは,別に用意しておいた問題を画面上に映し出すこともできます。本文の内容の説明をするときには,デジタルカメラで撮った写真を電子黒板に写し,内容を深めることもできますし,音読の音声モデルを示すときには,音声化したい文にタッチすることで,該当箇所が音声化されます。生徒は視覚的にも理解しながら授業を聞くことができるわけです。
T先生  私は,デジタルカメラでよく写真を撮りますが,その写真なども利用できるわけですね。
 そうです。以前に見た授業でこんな例がありました。市民のマナーが問われる内容の課を教えていた先生が,出勤時に駅前で違法駐車されている自転車の写真をデジタルカメラで数枚撮り,それらを電子黒板に映し出して本文の内容を説明していました。
T先生  生徒にとっては身近な風景が即座に見られ,さらに教科書の内容が深く理解できるというわけですね。
 そうです。NEW CROWNをご使用されているのであれば,「三省堂 デジタルテキスト」を使うととても便利です。「三省堂 デジタルテキスト」には,授業をする上で役立つ多くコンテンツがあらかじめ用意されており,たとえば,教科書の本文やポイント文,イラストが表示できたり,本文や単語の音声を再生できたり,また,フラッシュカードの機能なども付いていたりします。機器に弱い先生でも使ってみると意外に簡単で,慣れると準備作業も短時間ですむようになります。
T先生  ICTの利活用によって,生徒の興味を引き出し,授業への集中力が高まれば,教師にとっても生徒にとっても素晴らしいことですね。
 そうですね。使い方によってはとても素晴らしいものになると思います。ただし,機器だけに頼りすぎてもいけないとも思います。やはり,時代が変わっても,最終的には授業の根本は変わりませんし,専門分野における実力と教師としての指導力が授業の大本を支えるのだと私は思っています。それがあくまでも基本じゃないでしょうか。
T先生  そうですね。それと,私たち先生と生徒たちとの心のコミュニケーションも大切なのですね。いろいろありがとうございました。これから少しずつ機器に慣れていこうと思います。
 頑張ってください。

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

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