先日、長野市の中学校の先生から、メールで以下のような質問をいただきました。
英語を習うとき、リズムはとても大切だと思いますが、具体的にどのように指導したらいいでしょうか。普段のリズム指導が大切だと考えていますので、教科書本文の音読ではかなり注意して範読したり、さらにCDを聞かせたりしてからコーラス、グループ、ペア、個人と、さまざまな形で音読指導を行っています。しかし、どうもリズミカルな音読指導ができません。何か効果的な方法はないものでしょうか。
効果的なリズム指導についての質問です。私は以下のように返事を書きました。
- 私は1年生を教えるときに、特にリズム指導を意識しました。単語の中の強く発音される部分、すなわち「アクセント」が、英語のリズムを作り出す要素となります。簡単に言えば、リズムはことばの強弱といえます。したがって、ひとつの単語を発音するときにもアクセントをしっかりつけ、強弱を意識して何回も発音させることが、1年生の基礎学習として不可欠です。
- 具体的にどうするかを見てみましょう。平成18年度版NEW CROWN1年生35ページのWORD CORNER 1に「リズムをつけて言ってみよう」のコーナーがあります。このコーナーはTRY(選択的な活動)ですのでとばしてしまうこともあるかと思いますが、実は大切なコーナーなのです。
このコーナーを使ってコーラス、グループ、ペア、個人での音読指導をみっちりと行い、全員がリズムをつけて暗誦できるまでがんばらせます。これだけでも英語を読むときのリズム感が養えます。そして1、2週間たったら、忘れないうちに86ページに飛んで、WORD CORNER 6のTRYに挑戦することをお勧めします。せっかく身につけたリズム感が消えてしまう前に、もう一度念を押しておくのです。
これも同じように暗誦までもっていきます。ここでしっかりリズム感を身につけておけば、2、3年になってからの音読にもかなり好影響を与えるはずです。「音読が下手だ」とか「高校生になっても教科書が音読できない」などという批判にどう応えるかも、私たち教える側の課題のひとつなのです。
- ほかに具体的な指導としては、やさしい英詩、特にリズミカルな詩や歌を随時扱うといいでしょう。これはいわゆる「投げ込み教材」になりますが、私が使った詩のひとつを紹介します。
これを<タン・タカ・タン・タカ・タン・タカ・タン>のリズムで音読します。調子よく読めるので、生徒は興味を持って読むでしょう。意味も簡単に教え、暗誦させます。詩のほかには、教科書付録の歌を使ってもよいでしょう。「イエスタデイ」、「虹のかなたに」、「雨に歌えば」などの曲を使ったことがあります。
- 1年生も後半になれば、かなりリズミカルに音読できるようになります。日本人の初学者が正しいリズムを身につけるには時間がかかりますが、強く読むところに印をつけ、何回も練習するうちに、なぜそこを強く読むのかがだんだんと分かってきます。文中で大切な単語だということが分かるようになるのです。これが分かると、リスニングに関しても、弱く読まれる部分まである程度聞き取れるようになります(これは2、3年になってから指導してもよい)。そのためにもまずは1年生のときに、英語の特徴であるリズムを、教師の指導により身につけておくことが大切なわけです。教師がこの指導に力を注ぐか否かで、生徒のリズム感覚が大きく違ってくると思います。どうぞリズムを日々意識して、教室に臨んでください。
後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。 |
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