フーンコラム 第26回 後関正明

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dramatization(劇化活動)について

 最近,珍しく質問がなかったので,足立区のある先生とお会いしたときに,こちらから話をふってみました。その内容は,dramatization(劇化活動)についてでした。具体的にどういうことかというと,教科書を使って1つの「劇」にしあげるというものです。「劇」というと大変に大げさになりがちで,先生方は敬遠しがちなのですが,そこをもっと柔軟に考えて,簡単でやさしい「劇」を作ろうということなのです。普通は「劇化活動」というと台本作りから上演までをいうのですが,今回,私が考えているものは,(1)台本をできるだけやさしくして(2)上演はクラスの中で行うというものです。

Q  クラスの中で簡単な会話を行うということは,いわゆるスキットと同じことですか?
A  いいえ,違います。スキットはあくまでも「寸劇」または「短い会話集」です。したがって,衣装や背景は考えません。これに対し,「劇」は,台本がスキットに比べ少し長めになり,簡単な衣装を用意します。衣装を自分たちで用意することによって登場人物,言いかえれば,俳優としての自覚がだんだん出てきます。すると,台詞の覚え方も早く真剣になります。ただし,衣装といっても華美にならず,出来るだけ簡単なものにするように指示する必要はありますね。小道具や背景なども工夫次第で独創的なものを作ることができます。
Q  実際の台本作りの例を教えて下さい。
A   では,例をNEW CROWN(2年生)LET’S READ 1 “A Trip to Mongolia” を使って考えてみましょう。
 
登場人物:丘先生,健,久美
場所:教室
Mr Oka: How are you, Ken and Kumi?
Ken/Kumi: Fine. Thank you, and you?
Mr Oka: Fine too. Thank you. Today I want to tell you about Mongolia. I went to Mongolia in the spring vacation last year.
Ken/Kumi: Great! Did you enjoy visiting Mongolia?
Mr Oka: Yes, of course.
Ken: How long did you stay there?
Mr Oka: I stayed there for one week.
Kumi: What is the favorite place in Mongolia?
Mr Oka: Well ... Mongolia has a lot of famous places. I like the grasslands the best.
Ken: Are the grasslands big?
Mr Oka: Yes, they are. You will find it when you see this picture of the grasslands. Here it is.
Kumi: Wow, very big! How do people live in the grasslands?
Mr Oka: I visited my friend’s family in some grasslands. They live in ger. It’s a Mongolian house. ...

  というふうに,教科書中の文も利用しながら,3人の話を進めていくことができます。そのとき,未習語が少しくらいあっても,また,未習の文型・文法があっても,多少,目をつぶる必要があります。劇の台本全体の流れから推測すれば大体の内容が何となく分かるようになります。それが分かるだけでも教科書の内容をさらに興味深く学ぶことができます。

 この台本を作るとき,原稿ができたら生徒たちに見せて,台本についての意見を言わたり,かわりの英語を考えさせると面白いです。先生方よりもぐっと若い世代の考え方や言い回しなどが飛び出し,それがまた収穫になります。私も,忙しさを忘れ,夢中で取り組んだことを覚えています。

 今回は,台本作りについて,要点だけ述べましたが,実際の上演となると,背景とか衣装など,考えなくてはならない問題も生じます。実際の上演までの流れなどについては,また,機を改めて考えてみたいと思っていますので,楽しみにしていてください。

Q  いろいろと参考になりました。私も演劇は好きなので,ぜひ,取り組んでみたいと思います。ありがとうございました。
A  がんばってみてください。応援しています。

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後関 正明 (ごせき まさあき) 先生

東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

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