S先生 |
4月に入学した生徒たちはおよそ3ヶ月,英語を学ぶ楽しさと面白さを満喫しながら過ごしてきました。そして,あと半月足らずで夏休みです。そろそろ教科書も難しくなってきました。私の学校は今年から2期制になり,通知表もないまま夏休みに入ります。今までは1学期の評価がありましたので,それを基にして生徒たちに長期の学習計画を立てさせ,家庭学習として実行させてきました。今年は通知表での評価がないので,生徒たちにどのように学習させたらよいのか正直戸惑っています。
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私 |
確かに,このところ2期制にする学校が増えてきました。おっしゃる通り,通知表無しで長期の休みに入るのは教える側としては不安が残りますが,それはさておき,とにかく初めて英語という教科を学んでいる生徒たちだということを考えれば,何とか手を打たなければ,という気持ちになりますね。
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S先生 |
今まで1年生の夏休みの学習指導のねらいは,「せっかく英語に親しみ,英語が好きになった生徒たちの英語への関心や意欲を持続させ,それを2学期以降の学習に一層拡大させること」にあると考え,いろいろな実践をしてきました。
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私 |
たとえばどんな実践?
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S先生 |
個人の評価を基にして,まず課題を段階別に作成します。これは習熟度別と言ってもいいでしょう。その中で必修課題や任意課題,選択課題などに区分けします。
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私 |
それに基礎学習,発展学習の問題を加えると,その組み合わせはたいへんでしょうね。
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S先生 |
はい。計画してから作成し配布し終えるまで結構時間がかかります。
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私 |
でもそのときに注意しなければならないことは,その課題を生徒全員に公平に配布することです。その中で,あらかじめ先生に指定された課題に取り組み,やる気があれば次に進むという方法を徹底して伝えておくことが必要だと思います。
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S先生 |
そうですね。今まで全ての課題を全員に配布すると量が多くなるのでやめていたのですが,やはり全員に同じ課題を公平に配るという配慮は必要ですね。
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私 |
そうです。始めから課題で差をつけられては,生徒もいい気持ちはしないと思います。
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S先生 |
まだ他に注意する点はありますか。
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私 |
特に2期制になると,1年生にはきめの細かい指導が必要でしょうね。次のような指導が考えられますが,これはもちろん3期制にも当てはまる指導の原則です。
- 学校を離れて家で自主的に行う学習ですから,約40日間継続して少しずつ実行すること,1回に沢山やるよりも少しずつ毎日やる方が効果があるということを教えます。また,それだからこそ,先生の手作りの課題がいいのです。
- 休み中は自分だけが頼りになるわけですから,一度分からないところにぶつかると,そこから先へ進めないで次第にやる気を無くしてしまうことがよくあります。つまずいたらすぐに先生に連絡するなどしながら,何らかの方法を考えて課題に挑戦し,そこを乗り越える工夫をさせます。
- 特に理解が遅い生徒への配慮は忘れてはなりません。担当クラスの人数が少なければ,個別に指導することが望ましいですね。
- 1期前半(または1学期)はリスニング,スピーキング中心の学習が多かったでしょうが,夏休みに途絶えてしまうので,ラジオやテレビの講座を紹介し,視聴を促すのも一法です。
- 教科書の復習として,「音読」学習を毎日させるのがよいでしょう。このために,個別の記録帳を作らせます。ひな型を先生が作って生徒たちに配布してもいいですが,その場合は,大雑把なものよりも,日付・読んだ時間・読んだページ数・読んだ回数等を記入でき,しかも楽しみながらできるような記録帳にしたいですね。
- ペンマンシップを使っていたら,それを活用したり,教科書本文を丸写しさせるライティングの課題があとで意外に役に立ちます。いわゆる基礎構文のインプットです。
- 暑い中,生徒がせっかくやってきた夏休みの課題なので,提出させたらなるべく早く点検し,評価をして返却します。1週間以上も返さないのでは,生徒たちの熱気も冷めてしまいます。超多忙な先生方にとっては酷な話ですが,これは生徒との信頼関係を築く上で大切な仕事のひとつです。
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S先生 |
よく分かりました。お話いただいた事柄を参考に,今年は気合を入れて頑張ってみようと思います。
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私 |
その意気込みが生徒を変えていくでしょう。頑張ってください。 |
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