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       : 今年から少人数指導を実施しています。とても順調にいく時と全然ダメな時があるのですが… 
       : まず少人数学級の概略を教えてください。 
       : 現在,2年生は1クラス30人ですが,それを3分割し,3人の先生で週3時間教えています。 
       : そうすると少人数クラスのサイズは10人ですね。 
       : そうです。その10人の授業で… 
       : 順調に行く時とダメな時があるというわけですね。では,ダメな時はどんな時でどんな雰囲気ですか。 
       : 一人ひとりの生徒の名前も性格も知り尽くしているし,授業の方法もきちんと順序立てて行うのですが,それがマンネリ化して生徒がだれてしまい,集中力が続かないのです。そうなると少人数ゆえ雰囲気が休み時間と同じようになり,私語だけが活発になってしまうのです。叱ったり,たしなめたりしてはいるのですが。 
       : そうなると先生の話も聞かなくなるのですね。これは映画館で大勢で映画鑑賞をしている時はお互いにしゃべらないで静かに見ているのですが,家で家族や友人たちと少人数で映画のビデオか何かを見ていると,途中で結構おしゃべりが入るのと同じですね。 
       : つまり,その場の雰囲気で生徒たちの雰囲気も変わるということですね。 
       : そうですね。ですから,教室の雰囲気作りは実は英語の授業では特に大切な要素なのです。 
       : 英語の雰囲気を出すために壁に外国の写真とかポスターを貼るとか… 
       : そういうことも大切ですが,壁面いっぱいに貼り付ければいいというものではありません。例えば,小さい地球儀一つあるだけでもいいのです。要はそういうハード面だけでなく先生方のかもし出す雰囲気がいちばん重要なのです。英語の授業が始まったら教室内のそれまでの日本語モードを英語モードに切り替えるのが先生の技術なのですね。 
       : そうすると英語モードに切り替えがうまくゆけば,30人学級だろうと10人の少人数学級だろうと同じ… 
       : …ということになりますね。基本的には。確かに,人数が少なくなれば,生徒一人ひとりにかける時間が増えるなどの利点があります。しかし,だからと言って自然に効率のよい授業ができるようになるというのは巷間の俗論です。ただ,せっかく少人数学級で教えられるのでしたら,できるだけ少人数学級を生かした効果的な使い方をしたいですよね。 
       : 私もそう思います。そう思うが故の悩みも多いし,試行錯誤の繰り返しです。 
       : 私は10人でも30人でも授業の基本は同じだと思っています。私の基本はできるだけ大きな声で,@先生のまねをする,A読む(朗読する),B基本文をその時間内で暗誦する(その時間内というのがミソ),C教科書本文をできるだけ多く暗誦する−−−です。これらは,すべて大きな声を出すことを鉄則にしています。だから,ペアでの対話練習も隣同士ではなく,一列おいた次の列の生徒と対話します。私は,これを「頭越し外交」と称して行いました。この@からCまでの過程でいろいろと授業に変化を持たせ,4技能のうちで何を主眼にするかを決めて授業を進行しました。これが少人数ならもっと時間的に余裕ができ生徒と1対1で対話することもできるし,投げ込み教材を駆使することもできます。たとえ,習熟度別ではなくても効率のよい授業を構築することができると思いますが… 
       : よく分かりました。とにかくやってみようと思います。 
       : そうですね。やってみてください。でもまた問題点がでてくると思います。例えば,時間割編成とか,教員間のコミュニケーションをどうとるか,Team 
        Teaching (TT) の相手がNative Teacher(NT)の場合や非常勤講師の場合などなど。また施設設備の点,教材教具のシェアリングなどの細かい問題もありますね。それに評価という大きな問題も… 
       : その辺をどう解決してゆくか,難問山積ですが,これからもいろいろとご指導ください。有難うございました。 
       : いつでもどうぞご相談ください。ではまた,がんばって!!! 
        
      
         
          
               
                |   後関 正明 (ごせき まさあき) 先生 
                  東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。  | 
               
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