


先日,兵庫県の女性の先生から次のような質問とご意見をいただきました。
:NEW
CROWN 1のLET’S START 1でアルファベットを習うと,生徒たちは声も大きく,ものすごい迫力で発音練習をしてくれます。ところが,次のLET’S
START 2 (p.6−p.9) へ進むと,「bagはなんで [バッグ] と発音するんですか」とか「tableはどうして [テイブル] になるんですか」と理屈で考え,悩む生徒が出てきたりします。
要するに,bは [ビー], aは [エイ], gは [ジー] と発音するのに“bag”となると [バッグ]
と発音がアルファベットの時とまるで違ってくるのはなぜか?ということなんですね。あまりにも根本的で,逆に,説明に窮してしまいます。
:初めて英語を習う生徒にとって,英語は未知のことばかというと,ほとんどの生徒はそうではないと思います。つまり,何らかの形で英語または英語らしきことばと,日常,接している訳です。しかしながら,中学校で初めて系統立てて,しかも専門の英語の先生(またはネイティブ)から英語を習うわけです。1つの教科としての英語を習うとなれば,生徒の側も多少緊張します。小学校の英語活動で慣れているとはいうものの,今度は教科として習うわけですから…。
:すると,教科として学習するから,小学校の英語活動と違って生徒たちも多少緊張して理屈っぽくなるんでしょうか。
:そうかもしれません。それに加え,音声だけの(小学校での英語の)授業と文字との組み合わせの(中学校での英語の)授業とでは生徒たちの受け取り方が違うでしょうね。私の経験からすれば,中学校での英語の授業では,「少し難しいところがあるけど,これこそが勉強なんだ」と生徒たちがそれぞれに自覚して授業に臨んでいたように記憶しています。
:あ,その「難しい」でつまずく生徒が多いように見受けますが…。
:だからあまり「難しく」考えてはいけないと思います。何だか禅問答みたいですね。難しく考えず,シンプルに,「bとaとgを並べて1つの単語にすると,bag
[バッグ] になるんだよ」と。また,「tableは1つの単語としてまとめて発音すると [テイブル] になるんだよ」と説明して,そのまま何回もrepeatさせ,頭ではなく体で覚えこませる。私はこんな考えで1人ひとりの生徒に10回も20回も発音させました。そして,最終的に(生徒は,)フラッシュカードでbagを見たとたん
[バッグ], tableを見たとたん [テイブル] と発音できるようになりました。
:理屈抜きでシンプルに体で覚えこませるわけですね。でも,少し強制的な気がしますね。
:ええ,確かにそうかもしれませんが,私は初期の段階では理屈抜きで(有無を言わせず)何でもかんでも先生のまねをして覚えなさい!という指導をしています。
:でもなかなかこちらの言うことを聞いてくれない…。
:それをうまくやるためには,(始めの段階の授業では特に,)かなり意識的にスピーディに授業を進めないと…。具体的には,(生徒に)理屈で考える暇も与えないほど,列ごとに,また個々にpractice
and practiceです。もちろん,その間には,Good! Nice! Excellent! Very good! などの誉めことばを発しながら,生徒1人ひとりを励ましていくわけです。私の授業を見た先生方が私の授業がめっぽう早いと…。
:やっぱりある程度のスピードが必要だということはよくわかりました。モタモタしていてはいけないのですね。
:そう,特に1年生はね。
:で,最初に戻って,「何でbagは
[バッグ] と発音するのか」と質問した生徒には何と答えればいいでしょうか。
:そうですね。これは学問的に言えばずいぶん難しくなりますね。その理論をかみくだいて生徒に説明してもおそらく分からないでしょうし,またその必要もないと思います。簡単に,さまざまな音がいろいろに組み合わされて単語が出来上がり,いろいろな発音の法則に従って(ひとつの単語のまとまりとして)決まった言い方をする,くらいに説明しておけばいいと思います。とにかく,そのような質問を投げかけてくる生徒がいるということは教師として幸せですね。そのような意欲と関心をどんどん育てていってほしいと思います。
*本来ならば,[ ]内のカタカナは,発音記号で表記するべきですが,誰にでも気軽に読んでいただけることを目指し,カタカナ表記にいたしました。ご了承ください。

後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。 |
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