三省堂 英語ホーム > 高等学校英語 > 『三省堂高校英語教育』 > 2005年 夏号 連載コラム 英国便り | ||||||||||||||||
同志社女子大学 飯田 毅
日本の高等教育(大学、短大、高専)への18歳の進学率は49.8%(「教育指標国際比較」平成16年度)に対して、英国では18歳から30歳までの大学進学率が2003年現在43%(教育白書 The Future of Higher Education, 2003年)である。現在、英国政府は50%を目指して、教育に力を入れている。Blair首相の有名な “Education, Education, Education” ということばは教育政策の一端を示したものである。 そのような中で、教師の学習指導、特に受験対策が重要であることは言うまでもない。以前、GCSEについて述べたが、授業以外にsecondary schoolの先生はどのようなことをしているのであろうか。この写真は、父母と教師の面談の一場面である。日本流に言えば、二者面談とか三者面談ということになるだろうか。日本では通常学級担任が面談するのに対して、英国では教科担任と父母が1年に1回子どもの学習状況について話し合うのである。親は前もって配布された用紙に面談希望科目を書き込み、子どもを通して渡すと、おおよその時間が書かれた表が配られる。その予定表を基にして、このように面談するのである。当然、決められた時刻に始まる訳ではない。やや大きめなホールに教科担当の先生全員がこのようなブースを作り、親は手前に置かれた椅子に座り順番を待つ。一人だいたい5〜10分程度の面談になる。主に、授業中の様子、理解度、宿題の提出状況、親からの質問が話題になる。写真の中の先生の前にうず高く積まれたノートを見て、日本でもおなじみの光景であると思われる人もいるだろう。私の経験した範囲では、英国の先生方は子どものノートを実によく見る。特に、宿題に関しては必ず提出させ、赤でチェックしてくれる。そのような指導が、少なくとも子どもの教科内容の理解度を増したことは言うまでもない。 親と学校の関係で注目すべきことは、日本でも既にいくつかの学校で試みられるようになったが、地域の住民を学校運営に参加させていることである。その総会が年に一度開かれた。残念なことは、たまたま私の子どもが行った学校の親の関心が低いためか、参加者が数十名であったことだ。面白かったことは、そのような総会や学校行事の後には、日本で言う懇親会ともいうべきものがあって、学校の中でワインを飲むのである。事の善し悪しは別として、英国は伝統的にアルコールに寛容な国である。そう言えば、大学のパブで昼間からビールを飲む学生をよく目にする。 |
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