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三省堂高校英語教育 2004年春号
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巻頭エッセイ

心が動いたら始めよう


東ちづる (女優)

 活動が始まったのは12年前。きっかけは白血病の少年のドキュメント番組だった。涙を誘うものだった。しかし、司会者のまとめのコメントに私は耳を疑った。「頑張って欲しいですね」。その少年は病気と闘い、生きるためにすでに懸命に頑張っている。それなのに!?

 かく言う私も、子ども時代、親や教師、大人にどれだけ頑張れと言われたか。認められたいから頑張る。怒られるから頑張る。すると大人は決まってこう言う。「次も頑張ろうね」。その言葉に自分らしさを見失い、“いい子”をする以外の道は閉ざされてしまう。無自覚に息抜きのできない子どもたちの現状は今も同じようだ。

 本当は頑張れない時もあるし、頑張りたくない人もいる。そもそもいつも頑張る必要などない。しかも頑張れない状況の人をマジョリティーは「社会的弱者」と呼ぶのだ。なのに「頑張れ」とはまさに他人事。残酷な姿勢である。悪気はないので始末に悪い。

 テレビでSOSを公にしたこの少年は、この言葉にどう思っているだろう。そしてこの先彼はどうなるのだろう。いてもたってもいられなくなり連絡をとったことから、私の『骨髄バンク』の活動が始まった。

 そして、白血病で父親を失くした子どもが進学を諦める現実に衝撃を受け『あしなが育英会』の活動等へと次々に広がっていった。

 阪神大震災を境にボランティアへの意識も高まり、ずい分活動しやすくなった。

 ボランティアの意味は、自発的な行為。要するに、自分の気持ちがやりたいと感じてるから行動する、という単純なものだ。なので、時間やエネルギーや気持ち等を犠牲にしてするものではない。「してあげる」「させていただく」というものでもない。自分以上にも自分以下にもならず無理をしない。

 SOSに気づいた時、見て見ぬフリなんてできない。きっと自分が許せなくなるだろう。気になることはやっちゃったほうがスッキリする、楽になる。動いた心に素直に寄り添ってやる。そのタイミングは人それぞれ。だからボランティアを始めたからといって、しない人を非難するのは間違っている。

 社会的貢献とか人助けという言い方は確かに美しい。しかし、そう安易に実現できないケースも多い。見返りなんて期待しないからこそ思いがけず感動があったりするものだ。失敗なんてしょっちゅう。でも、その失敗は必ず栄養になる。あまりの理不尽さに泣きながら怒っている自分に驚いたり、色々な発見に目から何枚ものウロコが落ち、脱皮を繰り返すように自分も変化していく。それは、家庭や学校、職場では得られない貴重なものだ。

 ボランティアは私にとってかけがえのない居場所である。する側とされる側が対等に、一緒に活動する仲間。個々の違いを認め、分かり合おうとして。みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために、想像し創造する。そこに苦悩やおもしろさがきらめいているのだ。

 勉強すると頭が育つ。知識や知恵がつく。

 運動すると体が育つ。筋肉や力がつく。

 ボランティアをすると心が育つ。自分を大切にし、他者やモノ、自然を粗末にしなくなる。

 こういうことは早く知れば知る程人生は豊かになると思う。

東ちづる Azuma Chizuru
女優業の傍ら、骨髄バンクやあしなが育英会、ドイツ平和村等のボランティア活動を続ける。2003年度放送ウーマン賞受賞。近著に『〈私〉はなぜカウンセリングを受けたのか―「いい人、やめた!」母と娘の挑戦』。本年度の「VISTAU」にドイツ平和村についてのページがある。


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