昨年の『クラウンプラス』レベル3に続いて、レベル4がこの3月に出版された。その特徴を簡単にご紹介しよう。
まず、本文そのものは11課構成で、レベル3と比べて数は減っているが、それぞれのレッスンの平均語数は、逆に少し多くなっている。しかしこのような外見的な違いよりも、重要なのは、各レッスンの内容そのものが高度になっているということだ。テーマは哲学、ビジネス、フィクション、科学、宗教、芸術、社会問題など多岐にわたり、高校生にとって、知的好奇心を満足させ、精神的な成長を偏りなくうながすようなものばかりが選ばれている。
では、Key Pointsはどうなっているのだろうか? レベル4では、文法的な形式よりも、意味のカテゴリーを中心とした項目が、各課に7つずつ挙げられている。例えば、Lesson
1の項目をいくつか拾ってみると、1「ずっと〜している」、2「〜には関係なく」… 6「〜すべきだったのに」、7「〜になる」などとなっている。そして、それぞれの標題のような意味を表すにはどのような表現があるのだろうかというような発想で、例文が作られている。同様に後のレッスンから例をいくつかご紹介すると、「同格の名詞表現によって、さらに説明を加える」、「関係代名詞節で理由を表現する」(2課)、「〜のかぎりで最も(最上級+形容詞+名詞)」、「〜でありながら・・・(分詞構文で譲歩・同時性を表す)」(3課)、「節の代わりに用いる
not」、「仮に〜なら(if節のない仮定法過去)」(4課)などをはじめとして、「前文(の一部)を抽象語でまとめる」(8課)といった高度なものまで含まれている。
これらは、レベル3でひと通り文法事項を学んだ生徒に、それらを含めて学習上の様々なポイントを、また別な角度から眺めさせることにより、英語への理解をさらに深めさせ、定着させようというのが狙いである。
Expressionsでは高校生にぜひ覚えてほしい語法が取り上げられているのはレベル3と同じだが、学年の進行とともに、より高度な表現を選ぶようこころがけた。またExercisesはどの課も、書き換え、誤文訂正、作文などを中心とした5問構成で、原則として、Key
PointsとExpressions で学んだ事柄についての問題が並べられている。Writing Practiceの狙いはレベル3とほぼ同じ、Listening
Practiceはレベル3よりも一層充実している。各課が2問構成で、1番はテキストの一部がそのまま朗読され、それについての簡単な英語の質問に英語で答えるという形式、2番はテキストに関連した内容のオリジナルな英文を聴いて、テキストに印刷された質問に答えるという形式である。
Key Points、Expressionsの例文、Exercises、Writing Practice、Listening
Practiceの英語も日本語も――要するに、約半分のテキスト素材そのものを除いて、この本のすべてが、学習すべきポイント、学習者のレベルを考慮しながらウィルソンと山本によって新たに作り出された、オリジナルで新鮮なものばかりである。多くの参考書などに散見する、使い回されて黴のはえたような例文に飽きあきしている先生方の期待に必ずお応えできるものと確信している。
文部科学省の学習指導要領に即して単純となるいっぽうの検定教科書の英語と、ますます国際化し、複雑となっていく世界とのギャップが大きくなりつつある今日、内容、言語的表現ともに、真に知的で熱意ある先生方および学習者に満足していただける教科書を提供することが、著者一同が常に胸にいだいている願いである。 |