三省堂 英語ホーム > 高等学校英語 > 『三省堂高校英語教育』 > 2002年 秋号 連載コラム 英国便り | ||||||||||||||||
同志社女子大学 英国では長期の休暇を外国で過ごす人が多い。フランスまで飛行機で一時間以内で行けることを考えれば、やはり行き先はヨーロッパが多い。平日を含めて一週間以上休暇を取る。驚いたことに、子どもも連れて行くのである。学校もきちんとそれに対応していて、出かける前に親は「親は子どもを学校に行かせる義務があるが、年に10日間は holiday として休むことを許可する」と書いてある書類に行き先とサインをして学校長に提出しなければならない。 しかし、遠出をしなくとも、休日は十分に楽しめる。ここレディングではテムズ川が流れているために、のんびりとボートを走らせたり、釣りを楽しんだり、川辺をゆったりと散歩する人も多い。そんな4月のある日に友人のリチャードから電話がかかってきた。彼の趣味はもっぱら Country walking である。今度の日曜日にウォータシップダウン付近を歩こうというのである。英国では賑やかな町をちょっとぬけると静かで美しい自然のままの丘陵地帯が広がる。その中に、public footpath と書かれた緑色の小さな標識が掲げられている。もちろん、その大部分が個人の所有地であるが、一般に開放されていて、人々はその footpath を地図片手に、周りの美しい自然を堪能しながら歩くのである。 彼の車に相乗りして、目的地近くまで行き、歩き始める。 その前に、まず彼はいくつかの public house (pub) に寄り、昼食場所として良さそうな場所を捜す。彼の walking は、長くて3時間ぐらいで、その後先ほど決めた pub で食事をするというパターンである。あまり長すぎもせず、短くもなくちょうど良い時間である。日本のように急な斜面が少ない England では、適度な上りと下りである。歩き始めて3時間ぐらいで、お腹が空いてきた。さっそく pub に入り込んだ。都会の pub に比べて田舎の pub は静かで落ち着いている。建物の古さがなんとも言えず郷愁を覚える。数百年前の建物の低い天井と黒々とした梁は、数年前に取り壊した私の昔の家を思い出させる。かつて火を燃やして調理したために、部屋がその煙で黒々としているのである。地元で醸造された bitter と fish & chips を注文し、皆で会話を楽しみながら味わった。ゆったりとした休日であった。 |
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