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(品切)

単語の文化的意味 friendは「友だち」か 森住衛

本体2,000円+税 A5 256頁 978-4-385-36209-0

friendやdrinkなど中学校で学習する単語を中心に取り上げ、一つの単語を見開きで解説。日英比較文化の視点からことばの深層に迫る。ことばの背景にある文化を知れば、英語学習はもっとおもしろくなる。

2004年9月1日 発行

著者紹介 まえがき 目次 見本ページ(love) ※別ウィンドウで表示します


著者紹介

森住 衛(もりずみ まもる)

1942年東京都生まれ。東京学芸大学大学院修士課程修了。シドニー大学でTEFLのDiploma取得。東京高専, 大妻女子大, 大阪大の教職を経て, 現在, 桜美林大学大学院教授・大阪大学名誉教授。専門は英語教育学・言語文化教育学。「異言語教育を通してどのような人間が育つか」が最大の関心事。著書・論文には, 『英語教育指導ライブラリー』(共著 三省堂), 『英語教育と日本語』(共著 中教出版), 文部科学省検定済教科書中学用 New Crown English Series (代表著者 三省堂), 同高校用Exceed English Series (代表著者 三省堂), 'Simplification in Tok Pisin and Esperanto' (『大妻女子大学紀要』No.21), 「英語教育題材論 (1)−(12)」 研究社『現代英語教育』第29巻第1〜12号)などがある。

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まえがき

 本書が世に出るきっかけは、1979年からある小冊子で担当してきた連載である。「単語の文化的意味」と銘打って、毎回、英語の単語を1つずつ取り上げてきた。内容は、その単語の日英比較文化論的な解説である。この連載が50語を超えた頃から、編集部から軽い読み物として1冊にまとめてほしい旨の要請があった。

 これは筆者自身の望みでもあったが、そのまま出すのはいかにも不十分である。取り上げている語数が少ないし、その選定も恣意的である。年に2〜3回の連載のたび毎に、筆者が何か言えそうであると思った単語を、いわば勝手に選んできたにすぎない。

 そこで、多少なりとも取り上げる語数を増やして、取り上げる単語の分野の調整を試みた。また、本体の前段階として、ことばと文化の関係や日英両言語の発想法の違いなどを取り上げることにした。こうすることによって、単語の文化的意味を鳥瞰図的に見られると考えたからである。

 かくして、本書は第1部「言語・現実・思考」、第2部「単語の文化的意味」の2部構成になっている。第1部はいわば総論ないし序章である。「サピア=ウォーフの仮説」にはじまり、「意味のずれ」、「語形成」などを経て「日英発想法の比較」までを取り上げている。第2部は本書の主たる部分である。取り上げる単語は、「大きな概念」から最後の「機能語」に至るまでを10種類に分けて、計89項目となっている。

 本書を読んでもらいたいのは、英語や日本語の教員や教員志望の学生のみなさんである。さらに、英語をはじめ異言語を学んでいる人たち、ことば全体に関心をもっている人たちである。教えている人たちと学んでいる人たち両方に、と大変欲張っているが、ささやかながら本書で取り上げた問題は、ことばの教育や学習の根本にもかかわっていると思うからである。以下がその理由である。

 まず、英語の単語が背負っている文化や歴史を知って、その成り立ちの不思議さやおもしろさを知ってほしい。単語は単に覚えればよいというものではない。いや覚えるためにも、単語に知的に迫ってもらいたい。そうすれば、興味がもてて、記憶にも残る。英語に限らず、ことばを学ぶことは、楽しいのである。

 この知的な気づきは英語と日本語の違いだけではない。当然ながら、両者の違いはあり、本書もこれを主として扱っている。しかし、似ている点も多い。本書を通じて、ことばの普遍性の一端を知ってほしい。ことばの普遍性を知るということは、人間の普遍性を知るということでもある。

 さらに、本書では、比較文化的な視点だけではなく、公平・差別という点から、英語と日本語の問題を取り上げたつもりである。たとえば、第1部の最後の部分や第2部の国名などがそれである。単に言語や文化に関する知識をもっているだけなく、この知識を使いこなす判断力、すなわち言語観や文化観も、ことばの教育や学習には必須だと考えているからである。

 以上、一言で表せば、ことばの教育・学習にはメタ言語能力も必要だということになる。メタ言語能力とはことばに対する知識および判断力である。昨今は、実践的コミュニケーション能力ということで、「実際に使えること」を目ざす傾向が強くなっている。これはこれでよいことである。しかし、さらにメタ言語能力を加えれば、言語使用は盤石になる。適正な言語観や文化観に基づいて英語を使用すれば,「英語はうまいが、反国際的」というようなことはなくなる。

 本書の内容は、筆者のこれまでの英語圏での滞在などの個人的な体験を通して得た知見がもとになっている。しかし、巻末の参考文献として掲載しているように、多くの辞典や事典(本文中では略称で示している)、関係図書も参考にさせていただいている。本文への直接の引用の有無を問わず、ここに厚く御礼を申し上げたい。

森住 衛

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目  次

まえがき

第1部 言語・現実・思考

T サピア=ウォーフの仮説
U 「同じ」現象の切り取り方が異なる
V 「翻訳は裏切り」である
W 語の形成過程における共通性
X 日英発想法の比較

第2部 単語の文化的意味

大きな概念
animal,gesture,greeting,music,nation,nature,
society,sport,time

抽象的な概念
class,humour,joke,love,party,play,right,work

動詞・形容詞
die,drink,give,learn,marry,move,push/pull,
speak,think,beautiful,large/small,sorry,sweet


blue,green,red,white/black,yellow

食べ物
apple,bread,coffee,egg,orange,salt,tea


住まい・小物
bathroom,book,flag,fork,house/home,key,map,
shoe,window

人間
child,friend,lady,man/woman,name,volunteer

動物・身体・その他
baseball,car,cat,club,fish,foot,hand,horse,
moon,school,station,three,water

国名・人名
America,Australia,Canada,Japan,Korea,
NewZealand,TheUnitedKingdom,John,Mary

機能語
a(an)/the,be(is,am,are),he/she,I/you,it,Mr/Ms,
no,some/any,that,will/shall

あとがき

参考にした辞書・事典・文献等

索引


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