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自己表現力をつける英語の授業

斎藤栄二 著

本体2,000円+税 四六判 192ページ
ISBN:978-4-385-36353-0

実践的コミュニケーション能力(発信力)育成のために、普段の授業に一工夫を加えてみませんか。[自己表現のための語彙をどう増やしたらよいか]、[質問作成能力を養成するにはどうしたらよいか]、[Read and Look up はいつ、どのようにやるか]、[Discussionの具体的な進め方はどうするか]など、実践を踏まえたやさしく具体的な手順を示す。好評の前著『基礎学力をつける英語の授業』の続編。

著者紹介  目次  まえがき

著者紹介

斎藤栄二 (さいとう えいじ)

福島県生まれ。1972年、ハワイ大学大学院修士課程終了(英語教授法専攻)。
小学校、中学校、高等学校教諭、福島県教育センター、桜の聖母短期大学教授、京都教育大学教授、関西大学外国語教育学研究機構大学院研究科長、同外国語教育連環センター長を経て、現在、京都外国大学特任教授、関西大学英語教育連環センター特別顧問京都教育大学名誉教授。
著書に『基礎学力をつける英語の授業』(三省堂 2003)、『現代英語教育の文化学的諸相』(三省堂 2000)、『より良い英語授業を目指して』(大修館書店 2000)、『英語授業成功への実践』(大修館書店 1998)、『英語授業レベルアップの基礎』(大修館書店 1996)、『英文和訳から直読直解への指導』(研究社 1996)、『インプット理論の授業』(共著、三省堂 1988)、『新しい読みの指導』(共著、三省堂 1996)他多数。
文部科学省指定「英語指導力開発ワークショップ授業」講師(2005、2006)。文部科学省指定「資質の高い教員養成を目指す高度実践的な取り組み支援(教員養成GO)」講師(2005、2006)。


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目次

第1章  英語教育の未来像を描こうではないか
 1. 私たちは今、どういう時代に生きているのか
 2. 学力低下が大きな問題になっている
 3. 私たちはどういう時代を生きてきたか
 4. 未来への教育の方向
 【この章のまとめ】

第2章 生徒が自己表現に使う語彙をどう増やすか
 −Caption Methodのすすめ−
 1. 授業改善の軌跡
 2. 付録をもっと利用しよう
 3. Caption Method のすすめ
   (1)表現活動で、生徒の使いたいと思う英単語を、どう習得させるか
   (2)聞く活動で、生徒が聞いて分からない単語が出てきたらどうするか
   (3)「Caption Method単語ノート」を作る
   (4)生徒はどういうときに、より効果的に単語を覚えるのか
 4. 英和辞書か、英英辞書か
   (1)日本人学習者が英英辞書を使ったときの煩わしさ
   (2)英和辞書の有利さ
 5. 電子辞書はどう扱うか
 6. 発音:まずここだけは抑えよう
 7. 既製服とオーダーメイド
 8. どういう教師が生徒を惹きつけるのか
 9. 英語の単語の意味を推測させること
 【この章のまとめ】

第3章 自己表現力をつけるためには、どういうことをさせたらよいか
―日本人学習者の質問作成能力について検討する―
 1. なぜ日本人の質問作成能力の弱さを感じたか
 2. なぜ質問作成能力が大切なのか
 3. 授業の中で、生徒の質問作成能力を育てるにはどうしたらよいか
 4. 質問乱取り活動
 5. 質問型取り活動
 6. 質問ビンゴ活動
 7. 教科書を利用した質問作成活動
 8. 生徒から教師へ質問するQ&A方式
 9. 生徒から教師へ質問するQ&A方式を成功させるための4カ条
 【この章のまとめ】

第4章 自己表現力をつけさせる
 1. 自分について答えさせる方式
 2. 岡崎Method の紹介
 3. 読解を深めるQ&A方式
 【この章のまとめ】

第5章 Discussion 初級編
 1. Discussionの効用
 2. Discussionのさせ方はこう進める
 3. 秋の好きな理由も取り上げてみよう
 4. 戦闘開始
 5. Discussionは普通の学習活動とどこが違うのか
 【この章のまとめ】

第6章 Imitation Method
 1. はじめに
 2. 教材
 3. Imitation Methodの進め方
 4. ミニ・スピーチコンテスト
 【この章のまとめ】

第7章 ペーパーを読み上げないでスピーチ活動をさせるには
 →Read and Look up 方式
 1. Read and Look up 方式
 2. 教材
 3. Read and Look upの指導法
 【この章のまとめ】

第8章 対話:英語教師の「授業力」を育てよう
 1. 授業成功の秘訣
 2. 指名の効果的な方法
 3. 質問の時間の設定
 4. 質問の時間の設定には、授業を発展させる要素がある
 5. クラスに英語好きを3人つくれ
 6. 教師はオーラを持て
 7. 生徒が使っている辞書と同じレベルの辞書のみを使っていてはいけない
 8. 野性味の足りない教師たち
 9. 否定しなければならないこと
 【この章のまとめ】


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まえがき


 三省堂から拙著『基礎学力をつける英語の授業』(初版2003年)を出していただいてから、5年がたちます。『基礎学力をつける英語の授業』は幸いにして多くの先生方に読まれました。その後に姉妹編として計画していたのが本著『自己表現力をつける英語の授業』です。研究会等で、何人かの先生方から「それはいつ出るのですか?」と問われていました。本当はもうとっくに出ていてよかったのですが、主に私の多忙のためにのびのびになっていました。
前著を書かせていただいた願いは次のようなものでした。

 英語教育における現代的課題は「実践的コミュニケーション能力の育成」、なかんずく「発信力」です。日本国中の中学校や高校の英語の先生方は、その方向に向かって、レベルの差はあれ努力なさっておられます。そして「実践的コミュニケーション能力」というのは、現在では「生徒に英語で発表させる」という方向に向かっています。

 しかしながら、その現状を細かく見ていくと問題点も出てきています。つまり「生徒の発信する英語」の中身が問題なのです。単純なところでは I am go to school. から始まり Osaka is takoyaki.(たこやき) Dotonbori(道頓堀) and Nanba(難波) are dating. に至るまで「英語にして英語にあらず」という文を生徒は日常的に産出しているからです。それぞれI go to school. Osaka is famous for takoyaki. でなければ英語になりません。Dotonbori(道頓堀) and Nanba(難波) are dating. という文に出くわした時には、「これは見ものだ。私も現場に行ってこの前代未聞の光景に立ち会あわなければ」と言ったら、周りの先生は大笑いをしました。どういう意図か分かりませんがおそらくYoung people are dating in Dotombori and Namba.というようなところでしょうか。つまり「自己表現力」という建物を立てようとしても、その土台となる生徒の書く文は多くの欠陥を含んでいるのです。そこでOsaka is takoyaki. からOsaka is famous for takoyaki. に持って行くためにはどういう教え方の手立てを具体的に講じたらよいのか。その手立てを示すのが前著を書いた理由でした。「しっかりとした自己表現力をつけるためには、その土台となる基礎工事をしっかりとしよう」というメッセージを、いくつかの方法を示しながら、皆さんに送るのが目的でした。この努力は私としては引き続き続行しようと思っています。

 しかしながら基礎工事をしただけでは建物を建てたことにはなりません。今回の「自己表現力をつける英語の授業」は「どのようにして建物を建てるか」ということを狙いとした話です。多くの中学や高校ではウルトラ級の建物を建てる努力がなされています。そういう高層ビルディングの建築にも興味がないわけではありません。しかし、私が力を尽くしたのは「誰にでもできる建物の建て方」です。それは高層ビルに対して平屋建ての建物を建てる方法の提示かもしれません。しかしながら、私はすべての英語の先生方に対して「ここから始めてみませんか」という提案をすることにいたしました。それでもたとえば「日本人学習者の質問作成能力について検討する」(第3章)や「質問時間の設定」(p.148)などは、ベテランの先生にも「ハッと気がついて」自分の授業を振り返る「契機」を提供することができると思います。

 そして最後に「対話 :英語教師の『授業力』を育てよう」というパートを設定いたしました。今、生徒の学習意欲は低下するばかりです。こういう時代にあって、生徒の顔を授業に向けさせるのは容易なことではありません。授業力というのは総合的なものですが、生徒を積極的な授業参加に導いていくやり方を、わたし自身の体験を通して述べさせていただきました。
最近私は、自分の著書を通して、全国の英語の先生方と会話をしているような実感を少しずつ持ち始めています。また別な言い方をすれば、英語教育を対象として長編小説を書いているような気分を感じることがあります。その第1章は『英語を好きにさせる授業』(大修館)であり、第2章は『英文和訳から直読直解への指導』(研究社)、第3章が『英語授業レベルアップの授業』(大修館)、第4章が『英語授業成功への実践』(大修館)、第5章が『基礎学力をつける英語の授業』(三省堂)、第6章が本著『自己表現力をつける英語の授業』(三省堂)です。それぞれ単著ですが暇なときに目を通していただければ、私の考えている英語教育の全体像が分かって頂けると思います。

 最近私は下手な書を時間のあるときに色紙に筆で書いています。その中から1つ紹介させてください。

 できないと思ったら
 絶対にできない
 できないと
 思っている人に
 どうして
 できる力が
 わいてくるんですか

同僚の英語教師諸君。一緒に手を携えて次の世代のために力を尽くしませんか。

2008年1月10日
齋藤栄二



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