学ぶことによって、今まで抱いていた価値観を大きく揺るがす知識や考え方に出会うことは「楽しい」ことです。日本史学習には、こうした「楽しい」素材がたくさんあるように思います。
歴史(日本史)を楽しく学ぶ秘訣を大きな樹木に例えると、幹にあたる歴史の大きな流れを理解し、次にどのような枝があるのか、どのような葉があ るのかを知ることだと思います。
例えば、院政→平氏政権→鎌倉幕府と移りかわる大きな流れが「幹」です。次に、それぞれの政権の性質や基盤、どのような事件を経て時代が移りかわっていったのかが「枝」です。そして、それぞれの出来事にかかわった人物などの語句を「葉」に例えることができます。もちろん、学習を深める につれ、枝が幹になったり、葉が枝や幹になったりすることもあるでしょう。
私たちは、日本史を学習する皆さんにとって必要な語句の理解と知得とともに、問題文を読み通すことで大きな流れが理解できるように、との注意を払いながら、過去の入試問題から問題文となる素材を紡ぎ出し、それらに手を加えて時代別や分野別に整理するとともに、高校生や受験生の皆さんが日本史を「楽しく」学ぶことができるようにつとめました。
また、本書を素材に、例えば「紀元前1 世紀~7 世紀初頭の日本(倭)は中国とどのような外交を展開したか、史書をあげながらまとめてみよう」、「今も日本の文化として継承されている建築・宗教・文学などは、それぞれ、どの文化史上の時代に生まれ、広がったのだろう」など、自己発展学習や、学校での調べ学習、発表学習などのアクティブラーニングに活用されることも念頭におきました。
本書によって多くの方々が日本史を楽しく学んでほしいと思います。
高橋 哲(渋谷教育学園幕張中学校・高等学校)
松井秀行(三重県立石薬師高等学校)
渡辺哲郎(日本大学習志野高等学校)