ハンディーで使いやすい物理辞典!
松田卓也 監修、三省堂編修所 編
2009年6月20日 発行
定価2,090円(本体1,900円 +税10%)
四六変型 468ページ
ISBN 978-4-385-24017-6
近代以降の科学・技術の著しい進歩なくしては,現代社会は存立し得ない.とくに物理学分野はその基礎となり,また多数のノーベル賞受賞者を上げるまでもなく,学問の進歩に貢献する日本の存在感は明らかである.現代日本において,物理学に基づく概念を整理して修得することは,科学者・技術者に限らずすべての社会人にとって必要なことであり,学校教育でもより重視されるべきであろう.科学の進歩は技術を通じて日常生活に大いなる利便性を提供してきたが,近年では環境問題も大きな課題である.しかし,その解決にも科学が最も有効であることは,公害問題・石油ショックを1970年代に経験してきた日本人には理解できよう.このような中,高校生から研究現場で働く科学者・技術者までが手軽に利用できる,ハンディな物理学事典の必要性は大きい.本書は,基本的な用語から最近話題となった用語まで,簡潔に要領を得た分かりやすい解説を心がけるとともに,多くの分野・読者層の用途に応えようとした.今回の出版が時宜にかなったものであることを信ずる.
本書の前身『三省堂 物理小事典』は,1967年に初版が発行されて以来,これまでに第4版まで改訂を重ね,物理学の啓発・普及に少なからず貢献してきた.沿革と執筆いただいた先生方のお名前を改めて記させていただいた.監修者として初版の刊行から多大なお力添えをいただいた藤岡由夫先生,さらに監修を継がれた宮島龍興先生ならびに多くの先生方に深く感謝する次第である.コンピューターの進歩とともに,出版の技術革新も大きく進んだ.今回の全面的な電子化を機に,新版『三省堂 新物理小事典』として刊行することとした.
物理学自体が一大学問分野であるが,それを必要とする学問はさらに広く,工学,天文学,情報科学,化学,地学,生物学,経済学など多岐にわたる.高校の「物理」では最も基礎となる範囲に内容が限定されているが,実際には実生活で利用される科学や技術のすべてに深く関わっている.このため,近年の物理学の進展も反映して400以上の項目を追加した.タキオン,CPの破れ,ニュートリノ振動,量子テレポーテーション,散逸構造,宇宙の晴れ上がり,遺伝的アルゴリズム,原子間力顕微鏡,青色発光ダイオードなど,現代の用語も積極的に取り上げ,既存項目でも新たな観点から全面改訂をしたものが多い.さらに最新の各種データを収録したことはもとより,過去の資料の利用の便も考え,CGS単位系も併載した.また,海外の辞典等では無視されがちな,日本でなされた重要な貢献も極力,網羅するように努めた.
本書が高校・高専・専門学校・短大・大学で学ぶ学生,および一線の科学者・技術者,さらには物理学に関心がある一般社会人の方々に活用され,学習・実務に役立つことを心から期待している.また,書籍としてだけでなく,電子辞書をはじめとする電子媒体での利用の道が大きく開かれている.ひとりでも多くの方に利用していただけることを願ってやまない.
2009年 5月
三省堂編修所
初版発行 1967年11月20日 監修 藤岡由夫
第2版発行 1978年2月5日 監修 藤岡由夫
第3版発行 1982年12月20日 監修 宮島龍興
第4版発行 1994年4月1日 監修 宮島龍興
執筆者(五十音順)
井口磯夫 石塚武男 井内 宏 伊平保夫 江渡明穂
大沢健郎 太田 清 岡本澄男 尾中龍猛 楠川絢一
工藤恵栄 小林公三 近藤研二 板倉 守 板柳義巳
真田順平 島内 輝 下平 孟 謝 世輝 角 豊三
関陽太郎 瀬谷正男 高柳和夫 田辺孝哉 戸田盛和
富田隆詮 豊田博慈 中川靖夫 波岡 武 野中 昭
蓮 精 濱 和廣 藤原史郎 町田 勝 三宅和夫
宮島龍興 宮本芳子 村井康久 村田良夫 森 健寿
森末道忠 山崎美和子 林 一
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