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フーンコラム 第45回 後関正明

第45回 またまたreading ―より具体的な指導―

  前回,前々回と続けてreadingについて扱ってきましたが,さらにそのことについてS区S中のT先生からメールで質問がありました。したがって今回もreadingです。
前回のフーンコラム(44回):再びreading活動について
前々回のフーンコラム(43回): 授業中のreading活動は大切ですね

 

T先生からのメール

 2度にわたってreadingに関するコラムを拝見しました。実は,私もreading指導はとても大切だと心得ています。それだけにものすごく関心があり,日々の授業で実践しつつも悪戦苦闘しているところです。もう夏休みに入り,授業も一段落しました。その間に私のreading指導を自己検証して9月からの授業に備えたいと思っています。

 私は今,1年生3クラス(全クラス)と3年生2クラス,それに3年生の選択授業を受け持っています。1年生のコーラスリーディング(全体読み)はよく声が出ているほうだと思っていますが,個人読みをさせるとどうしても声が小さくなります。3年生はコーラスリーディングも個人読みもまるで蚊の鳴くような声なのです。私自身が中学生の時などは,教室が割れんばかりの大声を張り上げてコーラスリーディングをしていたので,今の状態ではとても不満です。そこで,大きな声で読むことの必要性を説明して励ますのですが,どうもうまくいきません。readingの方法としては「(教師・CD・ALTによる)範読 → コーラスリーディング → 個人読み」の順で行っています。また,和訳を含め,英文全体の説明が終わったあと,まとめの時間に黙読をさせることもあります。特に3年生のクラスでは,ほとんど毎時間黙読をさせています。ちなみに範読やコーラスリーディングの回数は平均2回,個人読みをさせる生徒は4〜5人です。黙読は1〜2回です。

 また,先ほど「悪戦苦闘している」と書きましたが,具体的には,生徒が飽きてreadingに集中しなくなることがあります。そのため,何とかして興味関心を持たせようとして,時々グループリーディングをさせたり,read and look upをさせたりしているのですが,授業を終えたあとに生徒たちが満足感を得ているかどうか,はなはだ心もとないです。

 授業改善のためのヒントを少しいただければ幸いです。

 

私からのメール

 夏休みに入っても,ただ正規の授業がないだけで,他の仕事や研修などで忙しい日々を送っていらっしゃると思います。しかし,先生のおっしゃるように,この夏休みは,先生ご自身のこれまでの授業の自己評価をしたり,研修を利用したりして,これからの授業の改善に役立てる絶好の機会だと思います。

 さて,具体的に先生の授業のことですが,ずいぶんreading指導に力をいれておられますね。まず,その点に敬意を表したいと思います。私もreading指導は,英語指導の「各領域を統轄する原点」とも言うべき重要な指導だと考えています。reading指導によって多くの例文を何度も読むこと(読めるようになること)で,自然と英語がintakeされ,それがspeakingやwritingの自己表現活動の際に,正確に表現するための糧となるからです。もちろん,それはlisteningにおいても理解力の向上に多くのきっかけを与えることになるでしょう。要するに,readingはlistening・speaking・writingなどの技能向上のための「扇の要」のような役目を持っていると思うのです。

 このような見地から私はreading指導に力を入れてきました。指導をマンネリ化させないために,先生のおっしゃるような「範読 → コーラスリーディング → 個人読み」の順序を基本にしつつ,グループリーディングやペアリーディングを途中にはさんだりして,少しバリエーションを加えてみてはいかがでしょうか。具体的に言うと,「全体読み → グループリーディング → ペアリーディング・個人読み」というようにです。さらに工夫をかさね,教科書を1人1文ずつ読んでいくチェーンリーディングをさせてもよいでしょう。これは,自分にどの文が当てられるか分からないので,緊張して人の読むのを聞くようになりますし,読む時に大きな声を出さないと他の人には聞こえにくいので,声を出させる指導のひとつとして最適です。また,ペアリーディングの時に,1人は英語,他の1人は日本語で対話をさせても面白いでしょう(これは小生がよく用いた「通訳ごっこ」と似ています)。よく行われているread and look upを毎時間行っても,readingの力がぐんとつきます。要するに,(先生もされているように)生徒を飽きさせないよう,いろいろなバリエーションを駆使しながらreadingを習慣づけてしまうことが重要なのです。

 そして,もうひとつ重要なのは,生徒たちがreading活動の大切さや面白さに気づくようにすることです。「皆で読んでいるうちに,1人では発音できなかった単語を(人にわざわざ聞いたり,調べたりしなくても)読めるようになった」ことに気づかせたり,時には詩を読んで,「リズミカルに発音することの楽しさを実感」させるのです。

 また,せっかくの機会ですし,いろいろなアドバイスを参考にされながら,2学期の授業のうちの1時間を取り出して,readingを主とした指導案を作ってみてはいかがでしょうか。できれば教育実習生の頃に戻って,その授業のシミュレーションをしてみるのも面白いかもしれませんね。

 またご質問などをお待ちしています。

 

後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

ご質問がございましたらニュークラウン指導相談ダイヤル(03-3230-9235 受付時間 月・火・木曜日 10:00 〜 16:00)へどうぞ。

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