三省堂 発行書籍
てにをは辞典

ひとつ上の文章表現をめざす「書く人」のための辞典。 国語辞典を補完する1冊。 250名の作家の作品から語と語の結びつき60万例を採録した “本格的日本語コロケーション辞典”。 報告書を書く・社内報を作る・HPを作成する・ブログを書く・卒論を書く・作家をめざす等、“頼りになる相棒” です。

  • 小内 一
  • 2010年 9月 17日 発行
  • 定価 3,800円+税
  • B6判  1824頁  ISBNコード 978-4-385-13646-2

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著者紹介

目次

はしがき

この本を開くと、▲や▼といった記号と単語が並んでいるばかりで、国語の辞書のような言葉の説明が見当たりません。「この本はどういう本なのか?」 「どう使えばいいのか?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

実は、この本は文章を書くときの手助けとなることをめざして編集したものなのです。より適切な言葉を選びたい、表現を工夫したい、そう思った時に役に立つ、いわば、"文章を書くとき頼りになる相棒"といったところでしょうか。

言葉は単独でも使われますが、多くの場合、二つ以上の言葉が結びついて使われます。この結びついた形を、本書では、「結合語」と呼ぶことにします。国語辞書は言葉の意味と文法的な解説を主とするので、紙面の制約上、わずかしか結合語の例を載せられません。

本書には、言葉の意味と文法的な解説はありませんが、のべ六十万の結合語例を載せています。本書は、国語辞書を補完する一冊として使っていただくと、より力を発揮すると思います。

編者が、この結合語に関心を持って採集を始めたのは、今から二十年ほど前のことです。

きっかけは、文章に関わる仕事(校正)をしながら、この言葉はどうもしっくりしないな、他の言い回しや表現はないのだろうかとさがした時に、参考になる本が見当たらなかったことでした。それならと、自力で結合語を採集し始め、『逆引き頭引き日本語辞典』 (講談社+α文庫、97年)にまとめました。助詞「を」をとる結合語十七万例を集めた辞典です。読者からは、一見、無関係な言葉が次々と並ぶので、発想があちこち飛んで脳が刺激されて面白い、どのような場面でこの言葉を使ったのか情景を思い浮かべながら読んでいくのも楽しい、翻訳の時に役に立つ、言葉さがしに使っている、などの声が 届きました。

今度の『てにをは辞典』は、「を」だけでなく、「が」「に」「の」などの助詞を介して結びつく結合語や、形容詞や副詞などとの結合語まで収めたので、前作とは比べようもないほど大部のものとなりました。脳がハレーションを起こしてくらくらするという方もいらっしゃるかもしれませんが、それは、その人の語彙が豊富で、想像力が豊かな証拠でもあります。

言葉の結びつきには、助詞が大きな役割を果たします。本の内容をイメージしてもらうのによいと考え、本書のタイトルには、助詞の代名詞でもある「てにをは」を使うことにしました。また、一つでも多くの結合語例を入れたいと考え、スペース省略のために記号(▲▼…~)を使ったので、最初はとまどわれるかもしれませんが、ちょっとした頭の体操だと思って楽しんでいただけたら幸いです。

本書に収めた結合語は、文庫本を中心に採集したものです(引用書籍は巻末に掲載)。ジャンルは、近現代の大衆小説・時代小説・純文学・評論など幅広く、作家数では二百五十名以上になります。その他、雑誌や新聞などからも採集しました。一人でこつこつとパソコンに打ち込んでデータベース化した結合語を、どのような形で、どのように並べたら一番役に立つか、この数年はまさに試行錯誤の連続でした。ようやく落ち着いたのが本書の形です。至らないところは多々あると思いますが、初めての試み、ひとつの到達点として、受け止めていただけたら幸いです。

みなさんに、本書の「言葉の海」「言葉の野原」を楽しんでいただき、さらに、文章を綴っていくときにいくらかでもお役に立てれば、編者としてそれにまさる喜びはありません。

また、この辞典は、若い人にぜひ読んで楽しんでもらいたいと思って作りました。結合語をたくさん入れたために千八百ページを超える本になりましたが、学校や地域の図書館にも本書を備えていただき、若い人が本書を身近で使える機会が増えることを願っております。

本書の出版にあたっては、大部の原稿を読んでくださった三省堂辞書編集システムの皆さんほか、校正の吉岡幸子さん、山口英則さんにお礼申し上げます。三省堂出版部の阿部正子さんには、七年前の企画の段階から、言葉に尽くせないほどお世話になりました。

そして結合語採集の対象とさせていただいた作者の皆様に、心からお礼申し上げます。


二〇一〇年七月

編者 小内一

「てにをは辞典」の特徴1

より適切な言葉を選びたい、表現を工夫したい、
そう思った時に役に立つ六十万の結合語例


●結合語を集めた辞典です

本書は六十万の結合語の例を、三万五千の見出しのもとに収録した辞典です。

例えば「空が晴れる」という語は、「空」と「晴れる」が助詞「が」を介して結びついています。

このように結びついた語を本書では「結合語」と呼びます。

結合語では助詞が大きな役割を果たしますから、

助詞の代名詞でもある「てにをは」を本書のタイトルに使うことにしました。


●言葉の海・言葉の野原を楽しんでください

結合語は250名の作家の作品から採集しました。文庫本を中心に、近現代の大衆小説・時代小説・純文学・評論など、幅広いジャンルから採集しています。

助詞「が・を・に・の」などを介して結びつく結合語や、形容詞や副詞などとの結合語まで収めたので、1800ページを超える辞典となりました。

「てにをは辞典」の特徴2

文章を書くとき頼りになる
本格的日本語コロケーション辞典


■ぴったりの言葉や表現をさがす。

①あとに続く言葉や表現をさがす

例えば、「愛」という言葉に続く言葉をさがすときには「愛」の項を見ます。【愛】では、愛が「あふれ出る」から始まって、「生まれる。輝き渡る。」と続き、愛を「あきらめる。味わう」、愛に「生きる。打たれる」と続きます。

②形容詞、副詞など、修飾する語をさがす

例えば「愛」や「愛する」を修飾する言葉を知りたいときは【愛】【愛する】の▼の項を見ます。

●忘れた言葉を思い出す

いざ書こうとしてちょっと思い出せない時に、この本が手がかりになるでしょう。

例えば、本当は「あえない最期を遂げる」と書きたいとします。でも「最期を遂げる」は頭に浮かんだものの、「あえない」がどうしても思い出せない。そんな時は、【最期】や【遂げる】を見てください。そこに並んだ結合語の例の中に「あえない」が見つかります。

●似た言葉をさがす

一つの見出し項目の中には、同じような種類の結合語例が集まっています。【食べる】には食べ物や食べ方がいくつも並んでいます。また、形容詞や形容動詞の項目でも、似た言葉をさがせます。例えば、【青い】、【明るい】、【上品】を見てみると、そこには、青い・明るい・上品なものが並んでいます。


■言葉の使い方を確かめる。

●表現に違和感を覚えたとき

違和感を覚える表現に出会ったとき、なぜそう感じるのかを確かめるのにも使えます。

例えば、「上へ下への大騒ぎ」という表現に、違和感を覚えたとします。そこで【大騒ぎ】を見ると、「上を下への」があります。こちらのほうが普通に使われているので違和感を覚えたのだと確認できます。

●否定形で使うのか,肯定形で使うのか

否定の形でしか使われない言葉もあります。それを確かめるためにも使えます。例えば【一向】を見ると、「あきらめない。面白くない。終わりそうにない」など、すべての結合語が「ない」で終わっています。ですから「一向に」と書いたら、後に続く言葉は否定形で使われることが分かります。

●相性の合う言葉かどうか確かめる

「冷たい水」「冷たく突き放す」は普通に使いますが、「冷たいお湯」「冷たく抱きしめる」とは、普通は使いません。それぞれの言葉がおおよそどのような種類の言葉と結びつくかが分かるでしょう。


■言葉を楽しむ。

●さまざまな情景を思い浮かべる

例えば【秋】を見ると、秋が「老いる。終わる」から始まって、秋を「満喫する」「思わせる涼しい風」、秋にでは「人生の秋にさしかかる」などの例が並んでいますから、いろいろな情景を思い浮かべることができるでしょう。

●連想やイメージを広げる

例えば【赤い】には、「赤い糸。屋台の赤い提灯。鮮やかに赤い。鼻を赤くする。目元が赤くなる。恥ずかしさで顔が赤くなる」などの結合語例があります。「赤い」という言葉の持つイメージや、「赤い」という言葉からもたらされる連想がふくらむと思います。

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