Q&A

新編 現代文[改訂版]
「となりのトトロ」の図版について

質問  『新編現代文[改訂版]』の「夢見る力」(小栗康平著)に「となりのトトロ」の一場面と思われる絵が掲載されています。ここでは、少女が一人しかいませんが、主人公の少女は、二人いるのではないでしょうか。
答え

 編集部が、編集過程で、スタジオジブリのスタッフの方に問い合わせたところ、次のような回答をいただきました。

 教科書に採録していただいた絵は、「となりのトトロ」の公開時に、劇場で使われていたポスターの絵です。「となりのトトロ」の主人公は、初めは一人の少女でした。あのポスターの絵柄は、初期設定の段階で描かれたものです。宮崎駿が構想を練るうちに主人公を分化させ、あのサツキとメイが誕生しました。名前も、もとは一人だったという理由から、同じ意味を持つものにしたのです。

  二人の少女、サツキ(五月)とメイ(MAY=五月)は、一人の少女から分化していった人物であり、ポスターの少女は、サツキとメイの原型であるようです。



高等学校 国語総合 古典編
精選 国語総合
明解 国語総合
高等学校 古典B 漢文編
精選 古典B

質問

 三省堂の『高等学校 古典B 漢文編』『精選 古典B』、『高等学校 国語総合 古典編』、『精選 国語総合(古典編)』『明解 国語総合(古典編)』では、『白氏文集』を、「はくしぶんしゅう」と読んでいますが、「はくしもんじゅう」という読み方が一般的なのではないでしょうか。どうして、「はくしぶんしゅう」と読んでいるのでしょうか。

答え

 『白氏文集』は、平安時代にわが国に舶載されて以降、「はくしぶんしゅう」と呼ばれました。平安期以後も、しばらくは、「もんじゅう(もんじふ)」の例は見られません。

 やがて、明治中期頃より、「呉音・漢音」、「読みぐせ」などの問題が複雑に絡まって、「もんじゅう」という読み方が流布したと考えられます。

 以下に参考文献をご紹介します。

  1. 松浦友久 『漢詩-美の在りか-』 (岩波新書、2002、75頁・252頁)
  2. 松浦友久 「19 ふみは『文集(ぶんしゅう)』『文選(もんぜん)』」 (『『万葉集』という名の双関語(かけことば)─日中詩学ノート─』 所収、大修館書店、1995)
  3. 神鷹徳治 「『文集』は<もんじゅう>か<ぶんしゅう>か」 (『高校通信東書国語』 289号、290号、1989)
  4. 神鷹徳治 「再論─『文集』は<もんじゅう>か<ぶんしゅう>か」 (『岡村貞雄博士古稀記念中国学論集』 白帝社、1999)
  5. 太田次男 「白詩受容を繞る諸問題─文集古鈔本との關聯に於て─」 (『国語国文』第46巻 9号、1977)

こうした研究成果を反映して、弊社高等学校国語教科書では、「はくしぶんしゅう」という読み方を採用しています。