ICT 実践事例紹介

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「デジタル」活用、その先へ

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中学校英語

  1. 学習者用デジタル教科書(教材)
  2. 学習者用デジタル教科書+収録音声付き
  3. 学習者用デジタル教科書
  4. 学習者用デジタル教材
  5. 学習者用デジタル 教科書・教材 All in One

兵庫県公立中学校教諭 I.K

2023年01月25日

 

 

1.はじめに

 「学習者用デジタル教科書を、生徒にどう使わせていますか?」研究授業で地域の学校に行くと、このような話題が多くなりました。これは、教師が使わせ方に迷ったり困ったりしているということの表れではないでしょうか。私も実際、「どう使わせようか」と悩んでいました。しかし、教師がまごまごしているうちに、生徒たちは、使いやすい方法を自分たちでどんどん見つけていたのです。それを見て、「『教師がどう使わせるか』ではなく、『生徒がどう使うか』だな。使い方を生徒に委ねてみるのがよいのではないか」と、考え方が変わりました。

 

2.「デジタル」と「紙」が入り混じる教室

 中学1年生の英語の授業で、生徒たちがペアになってインタビューをし合っています。写真①、②をご覧ください。タブレット端末、紙の教科書、それぞれを手に持っている生徒同士が、ペアで会話をしています。先述したように、デジタル教科書の使い方を、使うか使わないかの時点から、生徒に委ねてみた結果です。同じ授業中に、「デジタル」を使う生徒と「紙」を使う生徒とが「共存」するようになりました。

 

写真① 「デジタル」と「紙」の共存

写真② 「デジタル」、「紙」それぞれでペアワーク

 

 生徒たちは、ペアに聞いた内容を、「デジタル」、「紙」、それぞれにメモをしています。「デジタル」にメモをしている生徒の端末を見せてもらいました。写真③のように、テキストボックスを作り、そこに文字を入力している生徒がいます。また、写真④のように、タッチペンや指を使い、手書きで書き込んでいます。教師が指定せずとも、生徒たちはやりやすい方法を選んで行動します。

 

写真③ テキストボックスに入力

写真④ タッチペンで手書き

 

3.子どもたちは「活用」の天才!

 「デジタル教科書には、こんな機能があったんだ!」と生徒に教えられたことがありました。それは、教科書本文の内容を理解し、ターゲット・センテンスの文法の確認を行なった後のことです。ある生徒が、画面を指で何度もタッチしていました。「何を押しているの?」と画面を見せてもらうと、テキストボックスに、次のように入力されていました(写真⑤)。

 

写真⑤

 

“I can 【動詞】+【名詞】or【形容詞】or another.”

この【動詞】、【名詞】、【形容詞】というのはそれぞれ動詞、名詞、形容詞のことで、「スタンプ」で押してありました。

「へえ、こんなスタンプあったんや!どうやって見つけたの?」

「いろいろ触っているうちに見つけて、便利だからよく使っています。」

恥ずかしながら学習者用デジタル教科書の機能をあまり知らなかった私は、生徒から教えてもらったというわけです。

 

 大人の中には、新しい家電製品やデジタル・デバイスを使う時に、まず「トリセツ」を熟読してから…という人が多いかもしれません。今の子どもたちは違うのですね。「使い方をよくわかってから使おう」とせず、「使っているうちにわかった方法を、どんどん使おう」という子たちが、圧倒的に多いです。「教師が使い方を完璧にわかってから生徒に使わせようとしなくてよいのだ」と肩の力が抜けました。生まれた時からデジタルのものに囲まれた生活を送り「デジタル・ネイティブ」と呼ばれる子どもたちから、活用法を学ばせてもらっています。

 

 

4.デジタル教科書活用、その先へ

 デジタル教科書を使うか使わないか、そして使い方も生徒に任せ、委ねるとします。では、教師の役割とは、一体何をすることでしょうか。私は、生徒たちがデジタル教科書を使って「インプット」したことを、「アウトプット」する場面設定をすることが、教師の新しい役割だと考えます。

 

 写真⑥は、Microsoft Teamsの「音読課題」の画面です。生徒は、デジタル教科書の音声機能を使って発音を確認し、何度も本文の音読練習をしてから、この課題に取り組みます。そして、音読動画を提出すると、次の数値が自動でデータ化され、表示されます。1分毎の正解単語数、正解率(誤発音、挿入、自己修正、省略、繰り返し)です。この課題の目的は、デジタル教科書で練習した発音(インプット)を実際に音読してみて(アウトプット)、正確さを見取ることです。

 

写真⑥ 音読課題のデータ・フィードバック

 

 写真⑦は、生徒がタブレット端末で教科書の画像を見せながら、本文を「リテリング」している場面です。このアウトプット課題の前にも、生徒たちはデジタル教科書で発音を確かめながら、何度も音読練習をします。先述の「音読課題」との違いは、「本文通りに言おうとせず、自分の言葉に置き換える」「画像の内容を、聴き手に伝わるように伝える」という点です。生徒たちは「電子紙芝居」の話し手となり、聴き手の反応を見ながら、ストーリーを語り伝えます。

 

写真⑦ 「電子紙芝居」をしている生徒

 

 このように、デジタル教科書を活用すること自体ではなく、活用した「その先」に何ができるようになるのかを設定することが、これからの教師の大切な役割になるでしょう。

 

 今後も、全国の先生方と共に、さまざまな「その先へ」を考えていきたいです。

 

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