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川口裕美子 1.はじめに 語彙指導をする際,欠かすことのできないのが接頭辞,接尾辞の存在です。岡田(2008)では語彙指導の目的の1つとして知識の深さを挙げています。それは具体的に申しますと,1つの単語についていろいろな知識を増やすということです。その知識の1つに「形に関すること」があります。例えばスペリングや音,文法的用法,語法,品詞などが挙げられます。これら単語の形に関することの中に当然接頭辞,接尾辞も入ってきます。私はこの接頭辞,接尾辞を生徒に意識させることにより,生徒が英単語の構造に気づき,長文に出てくる英単語への恐怖心も薄れていくのではないかと思いました。また,英単語構造を知ることが長文読解力アップの重要なスキルの1つとなることに,日々授業を進める中で気づき始めました。そこでこれら単語の構造を学ばせるために何かいい工夫はないだろうかと考える中で,Dualウィズダム英和辞典を使った語彙検索を思いつきました。 今回は,教科書を使用した授業で,教師が語彙検索を活用する1例をご紹介させていただきたいと思います。 2.単語構造からの意味推測 私は今年度高校2年生の英語Uを担当しています。使用している教科書は,UNICORN ENGLISH COURSE II (文英堂)です。 例えば,Lesson 4 Fashion -- A Reflection of the Times の Part 2: 1960s(p. 48)冒頭には,次のような文があります。 In Africa, a lot of colonies won independence. このPartの内容は1960年代の歴史とファッションとの関連性について述べたものですが,independenceは特に歴史を学ぶ上では欠くことのできない単語です。そこで,まずこの語に焦点を当てることにします。 生徒にとっては新しく出会うindependenceという単語。もちろん始めに意味を辞書でさっと調べることも大切なのですが,授業では単語の構造から意味を推測させることを生徒に習慣づけたいと思いました。 independenceは単語の構造上から解体すると,次のようになります。 このindependenceの例のように接頭辞 in- や接尾辞 -ence を含む語を調べ,生徒に数多くの例を提示することで,上記の単語の構造についての理解が深まると思いました。しかしこれらの単語を紙や電子辞書で拾ってこようとすると,少し手間のかかる作業になってしまいます。そこで私はDualウィズダム英和辞典での検索を利用し,これらの単語を一気に調べることを思いつきました。 2-1. Dualウィズダム英和辞典検索方法 検索方法: 検索スタート画面より こうして得た検索結果から,さらに調べたいページのインデックスにジャンプすることもできます。 (4) インデックスで探したい語や他の語も調べる 【画面1】 【画面2】 2-2. 検索結果を活用して ウォーミングアップクイズ例: 次の語に共通することを具体的に3つあげてみよう。 absence / convenience / confidence / difference / excellence / silence / A(生徒からの解答例) 2-3. 派生語の検索 【画面3】 2-4. 前方一致検索 【画面4】 2-5. その他の検索例 【画面5】 2-6.
接頭辞・接尾辞テスト 接頭辞,接尾辞マッチングテスト ☆次の語に適切な接頭辞,接尾辞を入れて正しい語をつくりなさい。 depend [独立] believ(e) [信じられない] nation [国際的な] 選択肢 in / ence / inter / al / un / able ☆次の接頭辞,接尾辞の意味を選択肢から選んで記号で答えなさい。 1. in[m]- 2. -er / -or 3. -less 4. -ism 5. dis-
選択肢 a.
人 b. 主義 c. 2つの d. 再び e. 無,不… ☆次の語群には1つだけグループに属さない語がある。 1. doctor / actor / error / mayor / neighbor / operator
2-7. 課題プリント 【課題プリント例】 3.まとめ 以上,接頭辞・接尾辞の知識を増やすことで語彙力をつける方法の一例をご紹介させていただきました。 語彙の指導方法は他にもたくさんありますが,今回私は,生徒が単語の構造を学ぶことで未知の単語の意味も予測できるようになるのではと思い,このような検索方法を思いつきました。テキスト本文に出てきた新出単語でも「全く知らない訳ではない」「どこかで見たことがある」と感じることがあるのは,それが既習の語に接頭辞や接尾辞をつけた変化形だったり,派生形だったりするからです。未知の単語も推測ができるという自信がつけば,生徒は英語を読むのが楽しくなり,初めて出会う英文への恐怖心も多少和らぐのではないかと思います。 またこのように接頭辞・接尾辞を調べることで,自分自身,語彙指導のレパートリーが少し増えたような気がします。本稿が先生皆様方のご授業のご参考に少しでもお役にたてれば幸いです。 参考文献: Copyright (C) SANSEIDO publishing co.,ltd. All Rights Reserved. |