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例年3学期(3期制の場合)は,どの学年もその年度の総復習を意識した授業形態をとりますね。その総復習の仕方によって各学年が目標とする学習内容がきちんと身につくかどうかが決まってくるのですが,中でも特に重要となるのが2年生です。 2年生は一般的に「中だるみ学年」と言われるように,2年生の後半ともなれば英語にかなり慣れてくるはずなのに,1年生〜2年生の前半までの学習事項がしっかりと身についていないため英語に興味と関心が持てずだらだらと過ごしてしまう生徒が出てきます。「来年はいよいよ3年生だからしっかりね!」と先生が何度言っても“馬耳東風”の2年生たちです。3学期にそんな生徒たちをどのように指導すべきなのか,つまり,どのようにして2年生までの学習事項を身につけさせ,3年生に進級させるか・・・悩んでおられる先生が多いですね。 今回のコラムは,そんな悩みを小生宛の年賀状に書き添えてこられた都内K区のM先生にお答えしたいと思います。そこでさっそく現状を聞いたところ,次のようなことが分かりました。 M先生(20代後半・男性)は,現在2年生の担任で2年生全員(3クラス)と3年生の一部を教えていて,ざっと見渡しても2年生の約半数の生徒が,いわゆる「中だるみ症候群」だと言うのです。したがって区内の一斉テストの結果は平均以下という状況ではありますが,何とかして2年生として必要な基礎・基本を身につけさせ,英語学習に対する興味と関心を取り戻させたいということでした。しかし3学期は授業時間数も少ないし,教科書も終わらせなくてはならないので,効果的に総復習を行う方法はないか,というものでした。以下は,小生の答えです。 【小生の答え】 まず「復習カード」を作ります。厚紙で作ったカードの表に質問文を5つ書いた用紙を,裏には質問に対する答えの文を書いた用紙をそれぞれ貼り付けます。表面にはそのカードを使った生徒のサインを書く欄を作っておきます。(例をご覧ください。) カードA (1年生前半の内容) このカードは,A(1年生前半),B(1年生後半),C(2年生前半),D(2年生2学期まで)の4種類,それぞれクラスの生徒数の半分の枚数で作ります。なぜ「質問文→答えの文」形式にしたかと言うと,コミュニケーション活動を活発にさせる基礎づくりに役立つと考えたからです。 使い方ですが,まずクラス全員に,それぞれAかBのカードが行き渡るように配布します。次に,カードの表面を短時間で読ませ,意味を確認させます。最後にカードの裏面を見て答えを点検し終わったら,「5つの文を完全にマスターした」という意味で,それぞれのサイン欄にサインします。 プリントを配布するのではなく,あえてカードを使用した理由は,カードにサインを書き連ねていくことで,生徒の間に同じ目標に向かって活動するという連帯感が生まれますし,またカードは回収するので,活動の場で完全に暗唱してしまおうというやる気や集中力を引き出す意図があります。生徒を励まし,自信を取り戻すように指導するのがこのアクティビティの「こつ」ですね。 カードA,Bが終わったら,カードC,Dへと移りますが,1回で終えようと焦っては効果が出ません。2度,3度と時間をかけて(授業の帯番組として)繰り返すことが大切です。これをペアやグループ別にして対話活動として利用することもできます。そのときはカードを見ないで対話ができるように指導し,また基本文を基に応用文を示しながら対話ができるように指導することもできます。このようにカードを用いていろいろと単語を変えるなどしながらバラエティに富んだアクティビティを展開することができますね。この活動に慣れてくると,英語の苦手意識はかなり薄らぎ,心理的なつまづきも取り除くことができるでしょう。 カードB,C,Dの例文を掲げておきますので参考にしてください。 カードB (1年生後半の内容) カードC (2年生前半の内容) カードD (2年生2学期の内容)
後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より國學院大学で教職課程履修の学生を教えている。 ご質問がございましたらニュークラウン指導相談ダイヤル(03-3230-9235 受付時間 月・火・木曜日 10:00 〜 16:00)へどうぞ。 Copyright (C) SANSEIDO publishing co.,ltd. All Rights Reserved. |