このページを閉じる

フーンコラム 第4回 後関正明

こんな物でも立派な教材 その3

アメリカ版スーパーマーケット大売り出しの広告

−−−何年か前、生徒を引率してアメリカはワイオミング州キャスパー市を訪問しました。ワイオミング州はアメリカ合衆国北西部にある州で州都はシャイアン(Cheyenne)です。キャスパー市は州都シャイアンに次ぐ第二の都市で人口約5万人です。落ち着いた静かな街でダウンタウンといってもビルが立て込んでいるわけではなく、人もまばらでのんびりとした雰囲気の街です。だから、一歩街中を離れると周囲は見渡す限りの草原、牧場、畑などが広がっています。そこに中型ジェット機が発着できる空港があるのですが、そこら中が空港みたいで管制塔がひときわ高くそびえていなければ、そこが空港だと分かりません。それほど広く、空も真っ青だったので、訪問した家庭のホストマザーは「ワイオミングは“Sky Country”だ」と言って両手を広げ空を仰いでニッコリ笑っていたのが印象的でした。そんな風景を見ているとテレビで見た『大草原の小さな家』を思い出させてくれます。(実際のロケ地は隣のサウスダコダ州だそうです。そこのラピッドシティという街にも行きましたが、車で2・3分も走れば大草原の中の小さな家がちらほらと見えてきます。)

 短期留学の生徒たちはキャスパー市内の13の家庭にそれぞれ一人ずつホームステイしました。−(あとの13人は同州のニューキャスルという人口3千人位の小さな町でステイしましたが、その2か所を行き来するのもロ−カル線の飛行機なのです。アメリカは広い!)一軒の家庭を訪問し次の家へ行こうとしたらとんでもない遠くなのです。東京でいえば墨田区で訪問したら次ぎは大田区の感じです。ですから生徒たちはお互いに行き来できず、いやでも英語を使わざるを得ないのでいい勉強になります。日本語での電話やメールは禁止してあります。


郊外の一軒を訪問したときのこと、リビングルームに市内のスーパーの大売り出しの広告が散らばっていたのが目に止まりました。ちょっと見ると日本のスーパーの広告とよく似ています。

ホストマザー
『何か買いたいものでもあるの?』
『いいえ、ないけど、これ教材で使えるなぁ。』
ホストマザー
『???』
 
一通り説明し終わってから−−−
ホストマザー
『じゃ、そこへ行きませんか。おもしろいですよ。』

 というわけで車で連れていってくれました。小高い丘にあるモールはただただ広くてびっくりするばかり・・・。食料品も単位が大きくてやっぱりアメリカだなぁ、と思いました。

 さて、チラシの中身をちょっと見てみると値段の付け方が日本のス−パ−のものとまったく同じなのです。例えば「$5:00」とやらずにイラストのように「$4:99」としているのです。日本でも「¥500」は「¥498」ぐらいになっていますね。

 英文では……Everyday Low Price on Items You Use Most……が目に付きました。先月にも説明しましたが、関係代名詞 that の省略文ですね。3年の終り頃の復習になりますが、その前に most の復習ができますね。

 mostはmuch(副詞)の最上級で動詞を修飾しています。「最も多く」という意味です。


例文−−−
*He worked most. (彼がいちばん働いた)
  *What pleased you most? (何がいちばん気に入りましたか)
  *Which part of the book did you enjoy the most? (その本のどの部分がいちばん楽しめましたか)

 3つ目の例文などは普段教室で使っていますね。しかしこの最上級の most は(副詞の比較級・最上級は NEW CROWN では2年LET'S READ 2で well-better-best が初出ですから)前の課の8課で習う This book is the most interesting of the three.の most と混同してしまうかも知れません。ですからあまり深入りせずにサラッと切り上げ、例文の意味が大体分かればよしとしたほうがいいでしょう。

 次に目にとまるのは「形容詞の比較級」です。これは2年8課で習っていますが、スーパーの広告のような使い方もできますよ、と説明すればすぐ納得がいくでしょう。また英語が好きな生徒にはこの広告の下の表になっている部分、つまりこの広告の有効期間について説明するとすぐ分かってくれると思います。

 できれば実物の広告をなんとか手に入れて教室で広げて見せたいものですね。

 

 

後関 正明 (ごせき まさあき) 先生
東京都墨田区立中学校で教諭,校長を長年務める。その後,東京都滝野川女子学園中・高校で教鞭をとる。現在,NPO法人「ILEC言語教育文化研究所」常務理事。2003年より都内の私立大学で教職課程履修の学生を教えている。

ご質問がございましたらニュークラウン指導相談ダイヤル(03-3230-9235 受付時間 月・火・木曜日 10:00 〜 16:00)へどうぞ。

Copyright (C) SANSEIDO publishing co.,ltd. All Rights Reserved.